project simple creative

  • HOME
  • Simple x Japan
  • Simple x Japan 面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏 インタビュー 第1回
Simple x Japan

“面白い”を仕事にする。

Simple x Japan 面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏 インタビュー 第1回
category : Simple x Japan | date : 2012.05.21
大学卒業後、ソニー・ミュージックエンターテイメントを経て、大学時代の友人2人と面白法人カヤックを設立した柳澤氏。カヤックはサイコロが出た目で給料が変動する「サイコロ給」や1アイデア100円で買えるサービス「元気玉」など斬新な企画を次々に生み出す起業だ。そんなユニークな会社の代表である柳澤氏に、会社にかける思い、チームワークのあり方、仕事へ向かう姿勢についてお伺いした。

面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏

1974年香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントを経て、1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤック(合資会社カヤック)を設立。モットーであるユニークさを体現するプロダクツは、業界内外から注目を集めている。著書に「アイデアは考えるな」(日経BP社)、「面白法人カヤック会社案内」(プレジデント社)などがある。

面白法人カヤックを起業したきっかけを教えてください。
最初は三人でスタートしたわけですけど、一人は高校の同級生で、「将来、何か会社をやろうよ」って話をしていました。仲間で何かを成し遂げることに興味があったんだと思います。たぶん、会社が大きくなっていく過程で、「何かを成し遂げるためには仲間が必要なんだ」と気づくと思うんですけど、僕はまずは仲間が大切だと考えていたようです。
会社を立ち上げるにあたって、最初に決めたことは何ですか?
最初に決めたことは、どういう価値観を大切にするのかということです。それから、それを言語化する作業はずっとやっていました。価値観が言語化されたものが社是とか指針になっていくんだと思っています。
「面白法人」という名前にも、その価値観が表れています。
法人というのは一つの人格を持つものであると創業時に知りました。どういう人になりたいかと考えたときに、面白い人になりたいなということで「面白」って法人の前につけたんです。最初は「自分たちが面白がっていれば最高じゃないか」ということだったんですけど、皆に「面白い」と言ってもらえて、面白法人があることで社会が面白くなったと思ってもらえる存在になりたいと考えるようになりました。
株式会社のメカニズムって、利益を出すための仕組みだと思うんです。そこで何の理念も目的もありませんってかたちで会社を作ると、ほんとに目的がお金だけになってしまうんですよ。そこに経営者の個性が加わることによって、それこそアップルであればiMac、iPhoneなどの「i」だと思いますが、カヤックの場合は「面白法人」というキーワードが加わることによって、利益だけで突っ走らないとんがった組織になっていくと思うんです。
面白法人カヤックでは、KAYACスタイルと呼ばれる7つのルールを社内で共有されていると伺いました。ルールを「KAYACスタイル」として明文化されたのはなぜですか?
※KAYACスタイルとは…カヤックがもっとも大事にしている7つのルール。①「何をするか」より「誰とするか」②鎌倉本社と旅する支社③サイコロ給とスマイル給④「それって漫画っぽい?」⑤量が質を生む⑥ブレスト⑦ありがとう
詳細はこちら→http://www.kayac.com/vision/style

考えてることを整理しているうちに、筋の通った会社の制度ができてくると思うんですね。深く掘り下げていく過程で一貫性も出てくる。それを言語化する作業を皆で繰り返しやっているということですかね。
KAYACスタイルの一つに、「サイコロ給とスマイル給」がありますね。サイコロの出目ぶんのパーセントが基本給にプラスされるというユニークな制度だそうですが。
そうですね。カヤックでは創業時からサイコロ給を取り入れています。仕事をして報酬が入った時に、それをどう分けるかって難しい問題だと思うんです。たとえば五人いたとして、すごく単純なロジックとして五等分でいいかというと、どういう風に配分するかについて、考え方が分かれてきますよね。誰のパフォーマンスが一番高かったかを比べて分けるのが資本主義の社会だと思うんですけど。
パフォーマンスを比べるのとは違う、ユニークなルールを取り入れたのはなぜですか?
創業時からずっと、仲間と一緒にやるということをすごく大事にしてたわけです。サイコロで決まるぐらいの曖昧さがちょうどいいのではないかと思い取り入れました。スポーツでいえば、勝ったときの喜びをシェアしたい。だから、これもKAYACスタイルの一つでもあるんですが、「『何をするか』より『誰とするか』」というメカニズムを会社に持ち込んだんですね。
このあいだ僕が連載させていただいているブログにも書いたんですが、どうしてもビジネスは二項対立で世界が描かれることが多いから、「愛かお金か」みたいなことになりがちです。ほんとは両方取れると思うんですけど、でも、どっちか一つという話になったときに、たとえば結婚するときも「お金があって愛がない」のと「愛はあるけどお金がない」の、どっちを選ぶかと言われたら、愛があるほうを選ぶと思う。
仕事も一緒で、「何をするか」と「誰とするか」、どっちを選ぶかと言われたら「誰とするか」だと思うんです。ずっと一緒にいるわけですからね。そこは、西洋の感覚と日本の感覚が違うところかもしれません。欧米的な考え方だと、あんまり「誰とするか」を求めてない傾向があると感じている人も多いようです。その反動できっと家族を大切にするということもあるのかもしれません。家族はもちろん大事ですが、それと同じくらい会社の仲間も長い時間を一緒に過ごすわけですから、働く人の相性ってすごく大事だと思います。