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“面白い”を仕事にする。

Simple x Japan 面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏 インタビュー 第3回
category : Simple x Japan | date : 2012.05.23
大学卒業後、ソニー・ミュージックエンターテイメントを経て、大学時代の友人2人と面白法人カヤックを設立した柳澤氏。カヤックはサイコロが出た目で給料が変動する「サイコロ給」や1アイデア100円で買えるサービス「元気玉」など斬新な企画を次々に生み出す起業だ。そんなユニークな会社の代表である柳澤氏に、会社にかける思い、チームワークのあり方、仕事へ向かう姿勢についてお伺いした。

面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏

1974年香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントを経て、1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤック(合資会社カヤック)を設立。モットーであるユニークさを体現するプロダクツは、業界内外から注目を集めている。著書に「アイデアは考えるな」(日経BP社)、「面白法人カヤック会社案内」(プレジデント社)などがある。

沿革を拝見すると、会社を何度か移転されていますね。
そうですね。会社を立ち上げたのは江戸川橋で、高田馬場に引っ越して、そのあと鎌倉に移ってきました。
本社と支社だけではなく、「旅する支社」というのもありますね。
「旅する支社」というのは初めの頃からやってるんですけど、海外に一時的に事務所を借りて、普段している仕事を別の場所でやってみるという試みです。長い人では1ヶ月以上も滞在するんですけど、支社といってもあくまで臨時のものなのです。イタリアはもう3回行って、一昨年はベトナムに行きました。
「旅する支社」を始めた理由を教えてください。
カヤックという会社も一つの作品で、「会社がこんなことをやっちゃったら面白い」ってことを実践していく会社なんですね。だから、旅する支社っていうのも「オフィスが移動したら面白いね」っていう単純な発想からスタートして。
「旅する支社」もそうですが、会社がある場所をすごく意識的に選ばれていますね。鎌倉にオフィスを構えることは学生時代からの目標だったと伺いました。
そうですね。やっぱり、ここには山と海があって、お寺があって、日本独特のものがありますよね。それで都内からも近い。そういう立地的な優位性ってことだと思うんですけど、すべてのバランスの中で最適だったという感覚ですね。カヤックは京都にも支社がありますけど、きわめて日本的なところに本社を置くと、日本のコンテンツを世界に発信していくというストーリーにもぴったり合うし、流れている空気感も良いし、アイデンティティも生まれてきます。
企業として、どこに本社があるのかということは重要なことなんですね。
やっぱり、「なぜそこにあるのか」って重要だと思います。今とんがった会社は、本社の場所を戦略的に選んでると思いますよ。もちろん事業とのシナジーがあるとか、助成金があるとか、いろんな戦略性があると思いますけど。
江戸川橋に本社があった頃は、居住空間もかねていたそうですね。
ええ、数人で住んでました。
仕事の時間だけでなく、生活も一緒にするとなると、仕事とプライベートのバランスを取るのが難しそうですが。
いや、仕事とプライベートのバランスを取るって概念がまずないですね。僕は今でも、子供がいなかったら仕事場に住んでもいいと思ってます。
「24時間遊び、24時間仕事をする」というカヤックの信条にも、それが現れていますね。
僕が通っていた慶應大学の湘南藤沢キャンパスも「24時間キャンパス」を謳ってましたけど、僕らの「24時間遊び、24時間仕事する」というのも、そういったスローガン的なことですね。この場所にいると、すぐ近くに海とか山があるので、仕事中に海に遊びに行ったり、ごはんを食べに帰ったりもできますからね。だから、会社の近くに住んでる社員も多いと思いますよ。会社としても近くに住むことを推奨して、「移住したら、敷金・礼金を会社が負担」ってキャンペーンを過去にやったりしています。
本社の立地もそうですが、「場」に対してすごく意識的に活動されていますね。カヤックが大事にされているブレスト(ブレイン・ストーミング)も、一般企業が取り入れてみても盛り上げることが難しいのではと思います。カヤックのブレストが盛り上がるのは、ブレストの場の作り方にカギがあるのではと思うのですが。
経験もあると思います。ブレストは誰でもできるはずですから。カヤックでは、カヤックの文化を保つためのイベントとして、毎日ブレストをどこかしらでやっています。毎日参加するかどうかは人次第ですけど、ブレストの回数が減ってくると企業の活力が落ちると考えていて、指標にしています。カヤックの場合、ファシリテーターがいるので、どうやったらブレストが活性化するのか、ノウハウが社内に引き継がれていっているようには思います。経験者がまったくいないブレストは盛り上がらないですけど、5人中2人くらいがちゃんと経験者であれば、あとの3人がしゃべんなくても引き出させるので。
ブレストが苦手な人でもしゃべりやすいわけですね。
どれだけ長時間のブレストをできるかにクリエイターの集中力があらわれるという意見もありますけど、うちの場合、一時間以上やっても仕方がないという方針でやっています。ただ、合宿のときだけ長時間のブレストをやるんですね。長い時間やってると、かっこいいことを言おうとか、自分がどう思われたいとか、相手の意見のあら探しをしようとか、どうでもよくなってくるんです。会話もどんどんどうでもいい会話になってくるんですけど、そのときに何かが生まれるって感覚がわかる。別に、アイディアを出すのが得意とか不得意とかはあんまり関係ないんだなってわかるんです。
経験し重ねるなかで、ブレストのコツがわかってくる、と。
実際は得意・不得意ありますよ、ありますけど、それはあんまり関係ないんです。得意な人がいれば不得意な人から引き出せるし、不得意な人がいたほうがよいとは思っています。まったくアイデアを出ない人でも、とにかく長時間やっていると「ああ、私も役に立ってるんだ」って話になって、チーム戦がどういうものか理解できるんです。