阿野幸一先生(著者)×キソニースペシャル対談 阿野幸一先生(著者)×キソニースペシャル対談

阿野幸一先生×キソニー 白熱対談! 最終回【全5回】
暗記さえしなければ、英文法はこんなに使える!

阿野幸一先生×キソニー 白熱対談!
最終回【全5回】
暗記さえしなければ、英文法はこんなに使える!

キソニーと阿野先生の白熱対談、いよいよ最終回です。日本語訳からは読み取れない、to~と~ingの使い分け方や、canの本来の意味。英文法のまる暗記をやめて、英語で表現できることを効率的に増やしていきましょう!

阿野先生
キソニーさん、stop to talk とstop talkingを使い分けられますか?
キソニー
ええと…あっ、stop to talk は「立ち止まって話す」、stop talkingは「話すのをやめる」ですよ二?
阿野先生
ピンポン! 正解です。それぞれどうしてその意味になるのか、知っていますか?
キソニー
ニ・・・? そんなこと、考えたこともなかったですニ・・・!
阿野先生
stop to talkのtoには、「ある方向・行為に向かう」という意味があります。これを時間軸で考えると、現在を起点に未来に向かうという意味になるので、to~は「現在から未来に向かって」のことを表すんですね。だから、stop to talkは「立ち止まって、それから話をする」というニュアンスになります。
キソニー
toにそんな意味があったなんて・・・!
阿野先生
ちなみにtoの意味については前置詞でも同じで、たとえばtodayは、to「~に向かう」day「この日」なので「きょう」という意味に、tonightはto「~に向かう」night「夜」なので「今晩」という意味になるんですね。
キソニー
ニー!!! そうだったんですニ! じゃあ、stop talkingのほうは?
阿野先生
~ingはto~とは対象的で、「過去から現在にかけて進行中」のことを表します。なので、stop talkingと言うと「それまで(過去から現在まで)続けてきている話をやめる」という意味になります。
キソニー
なるほどですニ~!
阿野先生
このように、to~と~ingの意味を知っているだけで、英文ごとに意味を丸暗記する必要がなくなりますよね。to~で言えば、want to~、wish to~、hope to~なども同じです。たとえば、I want to see you again.で「もう一度あなたに会うことを望む(=会いたい)」となりますが、to see you againは未来のことですよね。
キソニー
本当だ! 考え方は全部おんなじなんです二~!
阿野先生
そして~ingで言えば、enjoy ~ing「~することを楽しむ」の例がわかりやすいと思います。「楽しむ」ということは、すでにその行為が過去から現在にかけて進行している状況にあるということ。そうでなければ、楽しいとは言えないわけですから。~ingは「過去から現在にかけて」のことを表す、という本来の意味を理解していれば、「enjoyのあとはto~だっけ、~ingだっけ?」と迷うこともなくなります。
キソニー
英文や英単語ごとに1つ1つ意味を覚えなくていいなんてすごいですニー! そういうポイント、もっともっと知りたいニ~!
阿野先生
まだまだたくさんありますよ! たとえばcanという助動詞。「~できる」と日本語だけで覚えては使いこなせません。canが表すのは「実現の可能性」なので、I can play the guitar.「わたしは(弾こうと思えば)ギターを弾くことができます」という使い方もできるし、Can you open the window?「(可能であれば)窓を開けてもらえますか?」と依頼するときにも使うことがわかりますよ。
キソニー
ニーッ! そういうことだったんですね! どうしてcanが依頼の意味になるのかなって不思議に思っていました。
阿野先生
これを読んでいるみなさんも、英文法のルールをなかなか覚えられないといった経験があるかもしれません。have to~とmust~、becauseとsinceは使い方がちがいますが、それは日本語訳だけでは見えてきません。また、comeは状況によっては「行く」という意味にもなりますが、それは暗記で理解できるものではありません。「どの場面で、どう使えるのか」という視点で英文法を理解すれば、ただ暗記するよりも実用的です。
キソニー
ニッ!? comeが「行く」になるって、どんな状況なんですかニ・・・!?
阿野先生
それは全部『みんなの楽しい英文法』に書きましたので、ぜひ読んでみてくださいね! この本は、これまでの英文法書のように文法用語から学ぶのではなく、「どの場面で、どう使えるのか」を身につけられるようになっています。その英文法を実際に使っている自分が想像できますし、英語で表現できることもどんどん増えていくはずです。英文法を身につけていくことが楽しくなってきますよ!
キソニー
まさに本のタイトルどおりです二~!
阿野 幸一(あの・こういち)

文教大学国際学部国際理解学科教授。NHKラジオ「基礎英語3」(2008~ 2012年度)、「基礎英語2」(2013年度~)講師。早稲田大学大学院教育学研究科英語教育専攻修了。専門は英語教育(主に中学校・高等学校での指導方法)、応用言語学。埼玉県立高等学校・中学校、茨城大学を経て、現職。大学では英語教員養成を中心に担当。著書に、文部科学省検定教科書『All Aboard! Communication English Ⅰ・Ⅱ』(共著・東京書籍)、『NHK 基礎英語 阿野幸一のグラマーポイント』(NHK出版)、『NHK CD BOOK 基礎英語3 千夏の青春ストーリーで学ぶ 伝わる英会話70表現』(共著・NHK出版)などがある。