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Simple x Japan 面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏 インタビュー 最終回
category : Simple x Japan | date : 2012.05.24
大学卒業後、ソニー・ミュージックエンターテイメントを経て、大学時代の友人2人と面白法人カヤックを設立した柳澤氏。カヤックはサイコロが出た目で給料が変動する「サイコロ給」や1アイデア100円で買えるサービス「元気玉」など斬新な企画を次々に生み出す起業だ。そんなユニークな会社の代表である柳澤氏に、会社にかける思い、チームワークのあり方、仕事へ向かう姿勢についてお伺いした。
面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏
1974年香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントを経て、1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤック(合資会社カヤック)を設立。モットーであるユニークさを体現するプロダクツは、業界内外から注目を集めている。著書に「アイデアは考えるな」(日経BP社)、「面白法人カヤック会社案内」(プレジデント社)などがある。
[柳澤大輔氏インタビュー]
2012.05.21 | Simple x Japan 面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏 インタビュー 第1回 |
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2012.05.22 | Simple x Japan 面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏 インタビュー 第2回 |
2012.05.23 | Simple x Japan 面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏 インタビュー 第3回 |
2012.05.24 | Simple x Japan 面白法人カヤック 代表取締役 柳澤大輔氏 インタビュー 最終回 |
- これまでに何度か経営理念を更新されてきたそうですね。
- 経営理念を変えてきたのには、3つ理由があって。まず、時代の変化とともに変えたほうがいいと考えています。何十年も前に作られた経営理念は表現として時代にマッチしていないんじゃないかってことがあるし、時代とともに変えていくべきだと思います。2つ目の理由は、クリエイティブとしてコピー力も少しずつは成長しているので、表現をより洗練されたものにしたいと思ったからです。
経営理念として言っていることは創業時から変わってないんですけど、同じ事を言うにしても言い方を変えたほうがいいってこともありますよね、最初に作ったコピーが、必ずしもクリエイティビティが高いとも限らないですから。
最後の理由は、思考が深くなって、本当にしたいこととか、強みはこれだってことがわかってきたからです。後ろの2つは、成熟した経営者であれば最初からクリアできることだったと思うんですよね。最初からクリエイティブで、最初から戦略がはっきりしてるものが作れると思います。でも、僕らは若くして会社を作ってるから、未熟なので変えざるを得なかったんです。 - 現在の経営理念である「つくる人を増やす」という言葉に込められている思いを教えてください。
- 経営理念は一つのビジョンであるとともに戦略でもあります。「つくる人を増やす」という経営理念が、ウェブクリエイター=つくる人だけを集めようという組織戦略に繋がっているところもありますし、つくる人を増やすことはうちの事業戦略としても有利になってくるわけです。
ウェブサービスをつくるにしても、自分たちだけでつくるんじゃなくて、ユーザーも巻き込んでつくることで、人もサービスも事業もうまくいく。あとは単純に、つくる人が増えれば世の中が良くなっていくんじゃないかっていう思いもあって。 - 柳澤さんの著書を拝読すると、社会への貢献をすごく意識して仕事をされてますね。
- 何をもって社会への貢献なのかはなかなかわからないし、よかれと思ってやったことがよくないこともあるから、「我々は社会貢献してます」と胸を張って言えるかというのは難しいんですけど、社会貢献する、したいっていう覚悟でやっています。そういう覚悟をしないと、会社も大きくならないと思ってます。
- 面白法人カヤックは、楽しむための努力を追求されている会社だと思います。そのマインドのなかで、社会に向けて発信したいものはありますか?
- 言いたいことが一つあるとしたら、経営者が熱い話をすると、「向上心があって、成長意欲がないとダメだ」って話になっちゃうと思うんですね。それがないと、会社っていうメカニズムは成り立たないから。「私、もういいです」みたいな話だと、サービスも向上しないし、会社も大きくならないのではないかと思います。だからどうしても経営者の話は人を頑張らせる感じの話になりがちだと思うんです。もちろん、それはそれでよい面もあるとは思いますが、「頑張れ」「頑張れ」っていうのを、もっと自分を愛するという方向に持っていってもよいと思うんです。
- 自分を愛することが大事だというのはなぜですか?
- やっぱり、「別に皆に勝ちたくないし、欲しいものもないし」って言ってる人に「頑張れ」って言っても、やる気出ないですよね。「仕事にストイックであれ」とか「ストイックに記録を上げていきましょう」と言っても、やる気が出ない人はどうしようもないじゃないですか。でも、その人も、自分を愛することは頑張ったほうがいいじゃないですか。気持ちのいいことだから。自分を愛することにストイックになれば、仕事で勝たないと自分を愛せない人は仕事に向かうだろうし、家から一歩も出なくても自分を愛せる人は、家の中でどう自分を愛するかにストイックであれば元気になっていくから(笑)。だから、自分を愛するってことはとことんやっておいたほうがよいと思うんです。
- なるほど。最後に、柳澤さんが一番シンプルに考えていることを教えてください。
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僕はやっぱり、人ですね。組織作りに対しては「『何をするか』より『誰とするか』」だし、どの事業に賭けるかも、事業のビジネスモデルがどうっていうより、「この人はうまくいくかな」って人を見て決めるし。僕が就職活動をしたときにも、いくつか内定をもらった会社の前に立って、中に入っていく社員の人たちを見て「どっちの人のほうが一緒に働きたいかな」って選びました。全部「人」を軸に決めてるんで、自分の選択は常にシンプルですね。
あと、会社の選択でいうと、「面白法人」ですから、シンプルに面白いか、面白くないかって問いはします(笑)。あとはフラットに、階層をなくしたいってチャレンジは常にしていて。肩書きとかもぐちゃぐちゃにして常に混沌とさせておきたいというか。その混沌の中からぼこぼこと生まれてくるものにはすごくクオリティにばらつきがあるんですけど、僕はそれがカヤックだと思っています。
究極に絞ってあそこから出てくるものは信頼できる」と思われるより、「何が出てくるかわからない」と思われたい――そっちで行こうと決めたんです。とはいえ、ウェブの中に限られますけどね。