クリス・アンダーソンとの貴重なツーショットを撮ってきた。 〜『MAKERS』編集後記1
クリス・アンダーソンとの貴重なツーショットを撮ってきた。 〜『MAKERS』編集後記1
それから3年、ついに日本版WIRED誌を刊行するコンデナスト・ジャパンさんがやってくれた、もとい、やって下さった。今週9日の「WIRED CONFERENCE 2012」にクリスが登壇する。ついに生クリスだ。すでにカンファレンスのチケットは満員御礼らしい。でもそんなことは関係ない。関係者枠で入り込んで(ピース!)立ち見でだって見てやるんだ。日本の担当編集者として、どんなにあなたに会いたいと恋焦がれてきたことかっ!
……と来日を前に気持ちは最高潮に盛り上がっていますが、実はクリスに会うのは初めてではありません。2010年の6月、アメリカのブックフェア Book Expo America のためにNYに出張した帰りに、サンフランシスコの友人Yの家に転がり込み、そのYに同僚のフリをさせて二人でWIRED編集部におじゃましたことがあります(普段は西海岸テイストなYがスーツにネクタイを締める姿を僕は20年来初めて見ました)。
WIREDのヘッドクオーターはサンフランシスコのSOMA地区にある。
当時は『フリー』の刊行から半年がたってベストセラー街道をひた走り、同時に彼の新作(つまり『MAKERS』)の版権を購入した時期でした。自ずと訪問の目的は、表向きには「新作 The New Industrial Revolution(そう、『新産業革命』が当時の仮題)の中身を少しでも多く本人から聞き出したい」というものでした。その時点での手がかりは数ページの執筆計画要旨(プロポーザル)と、同じような内容のWIRED誌の特集記事(WIRED:In the Next Industrial Revolution, Atoms Are the New Bits)ぐらいしかなく、正直、Yに「ところで、まっちゃん、新産業革命って何のことよ?」と訊かれても、「なんか3Dプリンタが凄くて、ローカルモーターズって戦闘機みたいなぶっ飛んだ車があるって話らしいよ」「はぁ?」みたいな事前ブリーフィングだけで編集部に乗り込んだわけです。
でも実際にWIREDのオフィスで生クリスに暖かく迎えられて舞い上がっていたので、その時話したことなんてほとんど覚えておりません(会社のみんなにはナイショだけれど)。自分のお祖父さんとスプリンクラー開発の話を熱っぽくクリスが語ってくれたことと(それで僕が余計に混乱したことは言うまでもなく……。いま本で読むとホントいい話なんですけどね)、僕が「『新産業革命』というタイトルは日本語だとちょっと厳しいから、できたら違うタイトルがいいなぁ」と伝えたらクリスが「僕もまだピンと来ていないんだよね」と言ってくれてホッとしたことぐらいでしょうか。
もうひとつ裏テーマだったのが「WIREDの編集部を見てみたい!」というものでした。雑誌編集チーム、Webチーム、アプリチームが並んでシームレスな製作体制を取る当時のWIRED編集部は時代の最先端を突っ走ってました(いや、今でも突っ走っています)。その雰囲気の一端でも感じられれば、と楽しみにしていました。当日はクリスが親切にもオフィスツアーをしてくれました。
誌面構成の検討ルーム。雑誌、Web、アプリを並列で考える。
でも数年も経てばテクノロジーも進化します。今いろいろと検索していたら、なんとグーグル・ストリートビューでWIRED編集部を眺められることに気が付きました。
WIRED JAPANESE EDITION:米WIREDオフィスにもGoogleストリートビュー
これじゃぁせっかくサンフランシスコまで見に行った甲斐がないじゃん!と叫んでいたら、さらに衝撃的なニュースが飛び込んできました。
WIRED:Wired Editor-in-Chief Chris Anderson Steps Down to Run Robotics Startup
クリスがWIREDの編集長を辞めるって!? ということは、ということは……WIREDの編集長ルームでのクリスとのツーショットとか、もう撮れないからめちゃくちゃ貴重じゃん!(そこか!!!)。
あれから2年と5ヶ月──クリス、やっとまた会えますね。
そして、お疲れ様でした! photo by YO TSURUMI
これからは自身が作ったメイカー企業の経営に専念するというクリス。さすが、メイカー魂の鏡ですね! その時にはMakerであるクリスをぜひこのサイトで突撃取材したいなぁ(上司の方々、読んでます?)。Y、また撮影よろしくね。
TEXT BY MICHIAKI MATSUSHIMA