インターネットヤミ市で日本の“パンク資本主義”のはじまりを見たゼ!!
インターネットヤミ市で日本の“パンク資本主義”のはじまりを見たゼ!!
早速、インターネットヤミ市を主宰するIDPWさんのサイトを訪問すると、イベントについての説明が記されていた。
自由の国インターネットとは名ばかり、ほらリジェクトだとか、ほら違法化だとか、 あんまり自由じゃなくなって来ている今日このごろ。 そこで、あえて人と人とが直接プロトコルする、そんなフリマを開催します! インターネットに病み(ヤミ)続けるぼくらに、手と手の触れ合う生あたたかい データを直リンク!!(IDPWのサイトより)
病み続けるネット民に「手と手の触れ合う生あたたかいデータを直リンク!!」なんて、アトムとビットの世界をつなぐ新しいもの作りの動きを紹介する当サイトの趣旨とぴったりではないか!
インターネットヤミ市に日本のメイカーはいるのか!? 日曜日の夕方、真相を確かめるべく、会場である神田の旧東京電機大学校舎に足を運んだ。
インターネットヤミ市に行ってきたゼ!!
会場へ到着してみると、最終日の閉館一時間前というのに大混雑だ。会場は熱気に包まれていた。会場を歩いていると、まずnuuoさんが出品されているnubotに目を引かれた。一度目が合うと視線を反らしにくい、独特の魅力をもつプロダクトだ。
開発者の林智彦さんにお話を伺うと、ぬいぐるみがSKYPEと連携しており、チャット上で記入した数字にあわせて動くらしい。たとえば「1」をタイプすると、右手を上げるという具合に。実際に、nuuoさんはSKYPEでの会議で活用しており、チームのコミュニケーションが円滑になったという。
たしかに、これがあれば、デスクトップの画面上では表現できなかった、「てへぺろ」のお茶目さをリアルに表現出来るかもしれない。SKYPEの画面越しに、「やっぱり実際に会わないと何も伝わらないなぁ」、といつもやきもきしている小生にとっては、魅力的なツールである。
恐るべし!自家製スキャナー
続いて、会場内を散策していると、なんと! 自家製3Dスキャナーを発見した。まだまだ一般人が気軽に手にするにはほど遠い、3Dスキャナー。まさか自作されている方がいるなんて!
開発者の山本悠さんによると、立体物をスキャナーの中に入れて、ちょっとずつ猫砂を足していき、その都度オブジェクトの写真をiPhoneで撮影する。そうした写真を蓄積していくことで平面の写真が積層データとなる。3Dデータの出来上がりというわけだ。
また、このマシンの魅力は「1ドットは猫砂より小さくならない」ことだという。まさか、哲学論議かとギクリとしつつ、お話しを伺った。どういうことかというと、3Dデータの輪郭を構成する要素は猫砂であるため、猫砂の粒の荒さでオブジェクトの輪郭が描かれる。だから、猫砂の替わりに、小麦粉を使えばさらになめらかな輪郭をもつ3Dデータが作れるということらしい。
大活躍の猫砂!
左が開発者の山本悠さん 右がお友達のカメラマンの百頭たけしさん
親切にご説明いただき、ありがとうございました!!!
なるほど、3Dスキャナーの原理が分かった気がする!
パンク資本主義をみたゼ!!
最近、『海賊のジレンマ ──ユースカルチャーがいかにして新しい資本主義をつくったか』(マット・メイソン 著、フィルムアート社)という本を読んでいる。この本で、デジタル機器を活用した新しいもの作りの動きを“パンク資本主義”と呼んでいる。現在、パンクスピリットの根底をなすDIYの精神(自分の作りたいものを自分のやりかたで作っていくこと)がデジタル機器によって拡張されている。そして、それらは大量生産・大量消費の産業パラダイムを変えつつある。
インターネットヤミ市では、他にも本記事には載せきれない、いや公衆衛生上の観点から載せることができなかった(パンクになりきれず、すいません!)自由でパンクなプロダクトが目白押しであった。
今回、私が目撃したプロダクトの数々は、日本のメイカーたちが起こすであろう“パンク資本主義”による変革のきざしかもしれない。今後の開発者のみなさんの活躍に大いに期待したい。
本サイト「MAKER MOVEMENT!!!」も日本の“パンク資本主義”を応援していくゼ!!
TEXT BY KEI AMANO